高浜町で暮らして。
地域おこし協力隊・月田ショーンさんが楽しむ、心のスローライフ。
昨年4月、高浜町の地域おこし協力隊にイギリス出身の月田ショーンさんが着任しました。それから1年以上経った現在でも、ショーンさんは変わらず「高浜が好き」と話してくれます。
ショーンさんは高浜に住む前、京都で暮らしていました。日本文化が結集した地ともいえる京都から高浜町への移住を決めることに、あまり迷いはなかったと言います。
「もっと自然と触れ合いたかったから。京都はとても良いところだけど、海や山に囲まれた高浜町で暮らしてみたかった。」
幼少の頃、ショーンさんは故郷イギリスのデボンという地方に住んでいたことがあるそうです。
「外国と日本の違いはあるけれど、同じいいところがある」
美しい海、豊かな緑、穏やかな空気。ショーンさんは、高浜町に懐かしいデボンの雰囲気を感じたのかもしれません。
国道から山に向かう細い道を抜けた集落に、ショーンさんは住んでいます。周りにはコンビニ、スーパー、ましてや娯楽施設なんて、ひとつもありません。あるのは田畑や木々、そして何軒かの民家だけ。高浜町内でも、特に“田舎”の色が強い地域です。自宅の古民家は大きく、ひとりで暮らすには寂しいのでは?と思うほど。
「広いけれど、木の優しさが感じられる家だから寂しくないです。絵を描いたり、楽器を弾いたり、趣味に没頭できます。」
お庭の広さも一級。ガーデニングどころじゃなく、畑までできそう。目の前には小川がさらさらと流れています。軒下には立派なベンチが。なんとショーンさんの手作りです。
「このベンチに座って、絵を描いたり、本を読んだり、ゆっくり過ごそうと思って作りました。もっとテーブルとか、他のモノも作っていきたい。」
意欲はとめどなく湧くものの、なかなか時間がとれず、実行できないのだとか。
ふと見ると、お庭に丸いものが。あれは何ですか?と聞くと
「あれは、ピザ窯です」まさか、ピザ窯も手作り?
「いや…あれは、買いました。」
ちょっとバツが悪そうに笑って、答えてくれました。
買ったものでもいいじゃないですか。ピザ窯がお庭にあるってことだけで貴重です。
前を流れる小川の洗い場で野菜や果物をきれいにして、お日様の下でお料理。手作りのテーブルを親しい仲間で囲み、焼きたてのピザと出来たてのお料理を食べる。それは、美味しいことでしょう。ショーンさんの夢のひとつだそうです。
夜になれば満天の星空が、頭の上に広がります。まさに、降ってきそうな星空。シーンと静まり返っているようで、耳を澄ますと、たくさんの音が聞こえてきます。
「虫の鳴き声とか、川の流れる音とか、風に揺れる木の音とか、自然の音を聞きながら空を見ることが好きなんです。あの山は、夜見るとちょっと怖いけど、とてもキレイでしょ。」
ショーンさんの自宅からは小高い山が見えます。木々の一本一本が分かるほど間近に山があるのです。月の光で三角のシルエットを描く夜の山は、見ほれるほどの美しさ。感動ものでした。
「みんなが助けてくれる。だから充実した毎日が過ごせています。」
ショーンさんの暮らしを支えているのは、人とのつながり。集落の人々の力添えがあってこそだといいます。
「集落の皆さんは、もう身内のようなもの。いつもあたたかく、助けてもらっています。とてもありがたい。」
たとえば、ショーンさんがいま挑戦している米作り。ある日突然「そうだ!米を作ろう」と思っても、そう簡単ではありません。まず、田を使わせてもらい、器具を貸してもらい、やり方を教わらなくては出来ないのです。お米作りに興味を持ったショーンさんに、やってみるかと、声をかけてくれたのも集落の人々だったといいます。
「一年間住んでみて、もっと長く住んでいたいと思える。こんな風に思わせてくれるのは、なによりも人のあたたかさ。とても心地いい。」
自然とともに、人との触れ合いも大切にしてきたショーンさん。その想いに応える人の心が生きている。高浜の良いところが、またひとつ見つかった気がしました。
ショーンさんの家には、県外からのお友達がよく遊びにくるそうです。誰もが高浜について『とても良い!』と絶賛の言葉をくれるといいます。たっぷりの自然、あったかい人、穏やかな空気。だからこそ、過ごせる心のスローライフ。高浜町はいいところだと思いますか?あらためて、ショーンさんに聞いてみました。
ショーンさんはにっこりと笑い、
「はい。とってもいいところ。大好きです。」
そう、即答してくれました。