「あしたあったらイイな」をつくっていこう。『高浜明日研究所』
「高浜の人はアツい!熱量がスゴイ!」
そんな風に町民のバイタリティを評価されることが多い高浜で、まさに熱意たっぷりに、町づくりの取り組みを行っている有志団体がいます。
それが高浜明日研究所、通称USKEN(アスケン)。高浜町を舞台に「あしたあったらイイな」という想いを持った人たちが集まった有志のまちづくりチームです。もともとは、町の漁師小屋で酒を交わしながら高浜のことを話す小さな集まりでしたが、メンバーも増えたことから、現在は中町にある元焼肉屋さん改装し、そこを拠点として活動しています。
研究所員として参加する条件は、同じ想いを持っているということだけ。町民はもちろん、町外にもメンバーがおり、現在20名ほどが集まっています。「未来の最小単位は明日である」をモットーに活動するアスケン。小さなことからコツコツと始めようと無理せず、楽しくまちづくり活動を行うスタンスですが、すでに明日の高浜の礎としてカタチになっているものもいくつかあります。
※写真は現在のものではありません
未来の町で生きるのは、子どもたち。力強いアスケンのパートナー。
高浜のいいものを使って、名物となる商品がつくりたい。アスケンのまちづくりプロジェクトのクリエイターとして抜擢されたのは、町の子どもたち。高浜小学校の6年生の皆さんです。
その名も『コドモノ明日研究所』。
核となる食材は町内産のぶどうです。驚くほどジューシーで「幻のぶどう」の名で呼ばれる永野農園さんの若狭ふじの果汁を使用します。
ぶどうの果汁を使って何を作りたいか。それをアンケートで答えてもらうのでは面白くない。班に分かれ、アイデアを出し合い、ひとつの企画としてまとめたものをプレゼンしてもらうコンペ形式で行われることになりました。
授業の一環としての取り組みとなり、子どもたちのやる気も、モチベーションもアップ。ゼリーやアイスクリームといった定番はもちろん、斬新なぶどうの香り付きキーホルダーなんて案も飛び出し、若い感性にアスケンのメンバーたちも驚いたのだとか。大人からのアドバイスを受け、何度もブラッシュアップした子どもたちの企画を、全校生徒や先生、アスケンのメンバーの投票。見事1位に輝いた企画が商品化されます。
そして商品化されたのは「若狭ふじのゼリータルト」。町の製菓店ぽっぽフジワラさんが制作・販売を担当されています。ぶどうの風味が生きたゼリーとしっかり歯ごたえのタルトがマッチングした、美味しいデザートができあがりました。
小学校に何度も足を運び、子どもたちをサポートしつづけたアスケンメンバーの名里裕介さん(地域商社株式会社まちから社長)は、こどもたちの情熱やこだわりにとても感心したといいます。
名里:
「地域商社という僕の立場上、町の生産者さんとはよくコミュニケーションをとらせてもらっています。そのときに永野農園さんから若狭ふじの果汁が眠ったまま使い道がないので、何かに使えないかとお話を聞いていました。同時に、高浜小学校の先生から、今年は新型コロナウイルスの影響で、小学校のあらゆる行事が中止。地域交流も充分にできてないので、6年生はなにもできないまま卒業となってしまう。どうにか思い出に残る活動をさせてあげられないかと相談を受けていました。これって、すごい運命的だと思いませんか?」
永野農園さん、高浜小学校の6年生、双方にうれしい企画となった、若狭ふじの果汁を使った商品づくり。いざはじまってみると、子どもたちのすごさに驚かされっぱなしだったといいます。
名里:
「卒業まで半年ということで、かなり時間がない。そんな駆け足の企画なのに、アイデア、プレゼン準備、大会運営、商品カード作りなどまでやりきった6年生のパワーはすごいですよ。『できる!』と思って、かなり無茶ぶりをしてしまったんですが、見事に対応してくれました。アイデアもすごく斬新で。ぶどうのかまぼこなんて、全くマッチしないと思われる提案もあったんです。もう、大人のアスケンメンバーはざわついてしまいましたね。(笑)
6年生のみんなのバイタリティ、担任や校長などの先生方をはじめとした高浜小学校の強力なサポート、そして永野農園さんをはじめ、実際にゼリータルトを商品化していただいた『ぽっぽフジワラ』さん、『アン・ヴェルヴ』さん、『源六餅』さんなど町内事業者さんたちのご協力。町のみんなの力添えがあってこそ、最後まで走り抜けられた企画だと思っています。」
たくさんの人に支えらえて実現できた、アスケンメンバーと子どもたちの共同企画。町内外を問わず、たくさんの人に食べてもらいたいですね。
守り、進化させる。ビーチクリーンで見つけた、新しいカタチ。
きれいな高浜の海は、100年後も美しく残していきたい町の宝物です。アスケンは、浜に打ちあがるプラスチックゴミのクリーン活動にも参加。海のプラスチックゴミからサングラスをつくる活動にも積極的に参加してきました。(海ゴミやサングラスについての記事はこちら。http://wp.me/p8cIs0-3ii)
100年後まできれいな海を残していくだけじゃなく、もっと楽しく面白いことへ進化させていく。プラスチックゴミは、ただのゴミじゃない。資源にもしていける。そんな柔軟なチャレンジ精神は、その後のアスケンの活動にもどんどん反映されていきます。
はじめてのイベント。USFESに伝えたいことを詰め込んで。
そして、今年4月。アスケンが初めてのイベント主催に挑戦。USFES(アスフェス)と名付けた、このイベントは「私たちのフェス」を意味しています。その内容は、まさに、今までのアスケン活動の集大成。
フリーマーケットでは、高浜発のいいものがズラリと並びました。そのなかには、プラスチックゴミでつくられたアクセサリーやチャームも。ビーチクリーン、そしてサングラスづくりに参加したアスケンならではのチョイスです。
さらに『コドモノ明日研究所』でつくったゼリータルトのお披露目もアスフェスで。たくさんのお客さんが来場するイベントでのお披露目を思いつくのは、遊び心にあふれたアスケンならでは。
また、会場となった城山公園ではキャンプができないのですが、この日だけは海辺のキャンプを楽しんでほしいとキャンプができることに。
高浜で活動する団体の中から、未来の高浜に一番あったら嬉しい活動をしている団体をみんなで投票する『みんなの明日総選挙』など、ユニークな催しも行われました。総選挙で1番に選ばれた団体には、イベント全売上の10%を寄附したのだとか。さらに夜は焚火を囲んで民族音楽を聴くなど、海辺の町らしさ、高浜らしさがめいっぱい詰まったイベントとなりました。
アスケンメンバーのひとり、商工会の冨田雄生さんはイベントを開くことの楽しさと厳しさを痛感したと話してくれました。
冨田:
「実は2020年秋くらいから、イベント開催の計画はしていたんです。ですが、僕たちがみんなイベント開催の素人だということに加え、新型コロナウイルスの影響もあり、足踏み状態でした。でも、コドモノ明日研究所の発表会がしたい、普段は禁止の城山公園(会場)でキャンプがしたい、フリマをやりたい、桜のシーズンにやりたいなど、したいことがいっぱいで、これは、4月の頭にやるしかない!と。そこからは一気に動き始めて、勢いでやりきった感じです。」
まだまだメンバーは多くないアスケン。イベントを開催するにあたって、やはり人手不足は痛かったといいます。運営資金も実費でまかなったり、協賛をもらいに走ったり、すべてが手探り。
冨田:
「アスケンは有志の団体。みんな本業がありますから、2か月でやりきるのは、本当に厳しかった。でもアスケンメンバーがグッとひとつになった気がして、すごく楽しかったです。開催後すぐに、次はこれがしたい、あれもやりたかったって話になったんですよね。終わった瞬間、もう次のイベント開催が楽しみになった。USFESを一番楽しんでいたのは、お客さんじゃなく、僕たち所員なのかもしれませんね。(笑)」
今回のUSFESは、あくまで第0回。プロローグなのだとか。とにかくイベントをやりきり、プロモーションの動画もしっかり撮って、反省点や改善点を改めて、次の第1回開催につなげる。そんな前向きな気持ちを笑顔で教えてくれました
高浜を盛りあげる、高浜の明日を良くする、それが高浜明日研究所のコツコツ楽しむまちづくり。面白いコトが大好きなアスケンが、これから、どんなドラマをつくっていくのか。アスケンのこれからに、大注目です。
高浜明日研究所 公式HPはこちら https://www.us-ken.com
写真提供:高浜明日研究所