2021年、あきらめない夏。「未来へつなげる」がキーワード。
毎年、ビーチを中心に町中が賑わう高浜町の夏。ですが、昨年2020年は新型コロナウイルスの影響で、ビーチ閉鎖やイベントの中止で静かな夏を過ごしました。安全のためにしょうがないことではありますが「子どもたちの夏休みに楽しい思い出が作れなかった」「気持ちが元気にならない」などの寂しい声も聞こえていました。
そしてコロナ禍のまま迎えた2021年の夏。ウイルスを決して甘くみてはいけない、みんなを感染の危険にさらすわけにはいかない。けれど、楽しい時間をあきらめないでほしい。そんな想いが町にあふれていたように感じます。
そんな高浜の夏を、少し振り返ってみました。
高浜の夏は、やっぱり海水浴。出来ることを、出来る限り。
高浜の夏といえば海水浴。昨年から様々な感染対策を練り、協議を重ねた上で、今年は町内にある8つの海水浴場のうち、城山海水浴場、鳥居浜海水浴場、白浜海水浴場、若狭和田ビーチをオープンさせることに。結果的に、福井県独自の緊急事態宣言が発令されたことで、8月11日(水)にすべてのビーチを閉鎖することになりましたが、オープン中は力を尽くして、感染対策に取り組んでいました。
マスク着用やソーシャルディスタンスなど感染対策のお願いを書いた立て看板やのぼりを目立つところに設置したり、アナウンスで随時感染対策を呼び掛けたり。もちろんビーチだけでなく、スーパーやコンビニなど町内の屋外施設や店舗などでもマスクを着用していただくお願いも。
高浜町長や副町長もビーチへ。オープンしている浜茶屋さんに感染対策の徹底を呼び掛け、消毒液やお客さまに感染防止の協力を求めるポスターなどを配布。町が一丸となって、コロナに負けないビーチにしようと取り組んでいました。
浜茶屋さんは、お客さんが入れ替わるたびに、スタッフが机やシャワーなどを消毒にまわります。忙しい時間帯などは、とても負担のかかる作業。それでも『安全に楽しんでもらうために』と、対策を徹底されていました。
「本当はコロナが落ち着いていない今、浜茶屋も休んだほうがいいと思っていたけど、毎年楽しみにしてくれている常連さんに『寂しい』『浜茶屋をあけてほしい』といわれたら、やっぱり無視はできんからね。こまめに消毒したり、マスクしなよってお客さんに声かけたり、できることはやってるよ。」
なるべくテイクアウトでお願いできるようにお客さんに呼び掛けたり、アクリル板の設置、消毒液の設置、マスク着用の声かけを積極的に行ったり。また、店内で密にならないように食券ブースを設置する浜茶屋さんもあり、各店が工夫を凝らして営業されていました。
ビーチ開設中もコロナの流行はおさまることなく、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが発令される可能性があることを想定。そのため、浜茶屋さんは例年のように、仕入れを大量に行うことができません。急遽買い出しに走ることもしばしば。感染対策以外にも、浜茶屋さんは多くのデメリットを抱えながらの営業でした。
「いまは大変でも、来年、再来年と、この浜茶屋があるビーチの姿をつないでいきたいからね。」
笑顔でそう話してくれていた浜茶屋の事業者さんに、心から「お疲れ様でした」と声をかけたい気持ちになります。そして、かき氷をひとりで黙食…。来年はみんなでわいわい食べられたら良いな。
新しく始まったこともありました。
若狭和田ビーチでは、安全対策の強化として『海辺のみまもりシステム』を導入。ビーチに設置された4台のカメラが自動的に離岸流を察知し、ライフセーバーや監視員に知らせる最新の事故防止システムです。スマートフォンなどに専用アプリをダウンロードすれば、ビーチ開設時の水温や波・風の強さといったデータ、ビーチのリアルタイムな様子などが確認できます。離岸流の発生なども通知されますので、海辺で遊ぶまでの準備と海辺での安全対策に活用してみてください。
ビーチオープン中だった8月1日。今年は夏恒例の花火大会も開催されました。ビーチを閉鎖していた去年は、もちろん中止。ですが「残念だった」「寂しい」という声も多く、今年は万全の対策とともに決行。
photo by Daisuke Ito
大きなイベント告知もせず、近隣の方を中心に楽しんでもらうことを目的とした花火大会。多くの人が集まるなか、普段以上に気を配り、感染対策や呼びかけを行いながらの開催となりましたが、子どもたちが「楽しかった」「いい思い出ができた」と喜ぶ姿、浜茶屋さんの「大変だったけど、やりがいがあった」と達成感を語る姿なども見られました。
コロナウイルスが猛威をふるい、落ち着くことなく迎えた今年の夏。感染防止対策の徹底のため、あきらめなければならないことも多かったと思います。けれど、高浜町には楽しい時間をすべて無くしてしまうのではなく、カタチを変え、工夫を凝らし、つながっていこうとするパワーがあふれていました。コロナ禍に負けず、いまとポジティブに向き合う町の姿に、少なからず元気をもらえた気がします。