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美味しいだけじゃない!

身体にもうれしい、高浜の食を探る。

 

 

海の6次産業施設「UMIKARA」がオープンしてから、早くも半年以上が過ぎました。若狭の魚や海鮮が味わえる「UMIKARA」の効果もあり、高浜の食は町内外の多くの人から関心と注目をいただいています。

 

 

 

 

そのUMIKARAの食堂のメニューやショップの商品には、新鮮な魚介はもちろんですが、それ以外にも地域の特産品がたくさん使われています。町のシンボルともいうべき青葉山のハーブ、国産無農薬で作られている杜仲茶・レモンなど。どれも健康的で安心なものばかりです。高浜の食に見つけた、美味しい以外の共通点。これはぜひ、追求していかねば!というわけで、今回のピン!トは「食」がテーマです。町の食に詳しいスペシャリストとともにお送りしていきますね。

 

 

 

 

町の美味しい研究家、森川さおりさん。

 

 

 

 

高浜の食のスペシャリストといえば、この人!それが森川さおりさんです。フードコーディネーター・野菜ソムリエとして高浜町で活動されている森川さんは、高浜の食との関わりがとても深い!地域の特産を生かした商品やメニュー開発、野菜にスポットを当てた健康づくりの推進など、ありとあらゆる町の食に関わってきておられます。

 

そんな町の食のスペシャリストに「今までの活動の軌跡を詰め込んだ、高浜の食プレートを作ってください!さらに、いろいろお話も聞かせてください!」とひどいムチャブリをしてみたところ「いいよ~」と、まさかの快諾。なんていい人だ。 

 

 

手際よく作業を進める森川さん。使っている食材は、The高浜!という感じのものばかり。サクサクっと美味しそうなプレートを作ってくれました。

 

 

 

 

うわぁ、なんて美味しそう!

森川さんも開発に携わった魚のすり身ボール「ととまる」のトマト煮、若狭の伝統食「へしこ」を使用したポテトサラダ、高浜町内浦地区のレモンがいい味を出している塩レモンごはん、そしてハーブや杜仲茶が効いたチキン。忘れちゃいけない、トマト糀のドレッシングをかけた野菜サラダもプラス。バランスも美味しさも最高の町の食を詰め込んだワンプレートです。

 

食欲は最大限に刺激されてしまっていますが、我慢我慢。森川さん、いろいろお話聞かせてください!

 

 

 

 

「野菜嫌い」から「野菜ソムリエ」に、そして「美味しい研究家」に。

 

 

 

 

森川:

「野菜ソムリエなんてやってるけど、実はもともと野菜好きじゃなかったんですよね。」

 

 

ええぇぇぇ?いきなりの衝撃的な告白に驚きました。なんでも、森川さんは野菜が食べられない子どもだったのだとか。けれど、好みの味付けにしたり、工夫することで食べられるようになったといいます。その経験から、野菜ソムリエの道を選んだ森川さん。小学校で食育教室の講師をすることも多いそうですが、そんな森川さんの言葉だからこそ、子どもたちも素直に受け入れられるんでしょうね。

 

 

森川:

「食育教室や料理教室の講師をさせてもらうことも多いんですけど、新しい野菜のメニュー開発もやっています。身体にいい野菜を、美味しく食べる。これが1番ですからね。」

 

 

 

▼料理教室の様子

 

 

高浜には「高浜健康づくり10か条」という効果的で取り組みやすい健康習慣のススメがありますが、その第一条、第二条は野菜がテーマ。「野菜から先に食べること」(ベジファースト)や3食で野菜を食べることを推奨しています。このベジファースト、高浜では全国に先駆けて取り組み始めたと聞いたんですが。

 

 

森川:

「そうですね。いまでは全国的に知られている健康習慣だけど、野菜から食べることで血糖値の上昇を緩やかにできて、食べたものがエネルギーとして消費されやすくなる。つまり脂肪が増えにくくなるんです。これって、すごく嬉しいことじゃないですか。そのベジファーストが10か条の中に組み込まれて、より町のみんなに広まっていった。今では保育所でもベジファーストの習慣を取り入れているほどに定着しています。」

 

 

 

▼町で取り組んでいる、たかはま健康づくり10か条。

 

 

森川:

「野菜以外にも、本当にいろいろな食材と向き合ってきたなぁ(笑)。って、現在進行形なんですけどね。」

 

 

 

 

 

 

町木の杜仲茶、美味しくたべるには。

 

 

健康茶として知られる杜仲茶は、実は高浜町の町木。しかも高浜でつくられている杜仲茶は100%国産無農薬で、できる限り自然に近いカタチで育てられたもの。いろいろな商品やメニューを開発して、町内外多くの人に愛してもらいたい。そんな杜仲茶にも、森川さんは向き合いました。

 

 

森川:

「健康的だし、美味しいお茶なのだけど、飲みなれてないとクセが強めだし、ちょっと苦い。町でも杜仲茶ソーダや杜仲茶すし、杜仲茶グミや飴などの開発がされていました。最初は本当に試行錯誤の繰り返しでした。そのうち、あんこやクリーミーなものによく合うことがわかって、クッキーやジェラートやパンなどに活用しましたね。」

 

 

 

▼杜仲茶のマーブルチーズケーキ

 

 

他にも、UMIKARAで食べられる杜仲茶ソフトクリームとそのトッピングの杜仲茶クッキー、町の直売所のきなーれで販売されている杜仲茶ジェラートなど、森川さんが携わった杜仲茶の商品は盛りだくさん。町の代表的な味として存在感を発揮しています。

 

 

 

 

 

和のハーブ・薬草を使ったレシピ開発。

 

 

 

次に課題となったのは、町の山が育む薬草、ハーブでした。

ハーブの宝庫として知られる町の象徴、青葉山。その中腹にあるハーバルビレッジにはカフェがあり、オープン当初のメニュー開発を担当したのが森川さんでした。ハーブをどうアピールするか、どんな風にメニューに取り入れるか…かなり難題だったといいます。

 

 

森川:

「聞いたこともないような和のハーブもあって、それを使ったメニューを開発しないといけない。どうしようって思いましたね(笑)。黒文字、イブキジャコウソウ、ドクダミ、カキドウシ。ハーブの勉強をして、いろいろ試行錯誤して、出来上がったメニューをカフェで提供していました。」

 

 

当時の定番メニューとして提供していたのは、黒文字を煮出したスープ。和のタイムといわれているイブキジャコウソウを練りこんだパンに、ハーブソーセージを挟んだポケットパン(ピタパン)。またハーブソーダや自家製ジンジャーエール、クラフトコーラにも挑戦されていたとか。

 

 

▼ハーブを使ったメニュー。

※現在のハーバルビレッジでは提供されていません。

 

 

森川:

「ハーブっていうだけで使いづらい、ハーブティーにしかできないって思いがちだけど、意外といろいろなものに活用できます。もちろんハーブティーとして飲むのは王道だけど、食べ物と組み合わせたら、日常の食事として取り入れやすいですよね。せっかくハーブの宝庫といわれる山がある町なんですから、どんどん活用したいですね。」

 

 

 

 

 

そして新たな強敵!低利用魚に立ち向かう。

 

 

 

森川:

「ハーブ、杜仲茶など、いろいろなものと向き合ってきたけど、さらに難題をいただいちゃって(笑)。それが、いま現在進行形で取り組んでいる、しいらなどの低利用魚の活用。低利用魚って大量に獲れるけど、地元ではあまり食される習慣のない魚のことなんです。これをどうにか活用したいと。海辺の町ですからね、高浜は。町のために避けては通れない食材ですよね。」

 

 

食のことなら百戦錬磨に思える森川さんも、実は魚の商品開発は未経験。まずは、捌き方をしっかり勉強したり、お魚検定を取得したり、知識を深めます。メニュー開発に携わったら、その食材に本気で向き合う。森川さんのすごいところです。

 

 

 

 

森川:

「今日のメニューでも使っているととまる。これが開発した商品ですね。ツバスやサゴシ、シイラといった低利用魚をベースに、いろいろな魚をブレンドしてみました。アジを使ったり、トビウオを使ったり。試行錯誤を繰り返して、やっとパサパサせず、しつこくなく、魚臭さやクセも少ない、もちもちのすり身ができました。エソという昔から高浜ですり身づくりに使用されてきた魚をプラスしているので、伝統の継承にも一役買えたかな?」

 

 

 

▼ととまる開発風景

 

骨もなく、子どもたちも食べやすい、ととまる。いい商品ですね。このすり身をアレンジして、「ととカツ」などの開発もされたそうです。

 

 

 

 

 

 

新たな町の顔になるかも?内浦レモンの可能性。

 

 

 

食に真摯に向き合う森川さんだからこそ、依頼も後を絶ちません。

 

 

森川:

「さらに最近は内浦地区でつくられているレモンとも格闘中です。内浦地区でつくられているレモンなんですけど、唐揚げにかける以外にどうアピールしたらいいかわからないって相談を受けて…。レモンを使ったメニューを、たくさん考えました。レモンケーキ、レモンシロップ、柚子胡椒のレモンバージョン。いまUMIKARAのショップで販売しているレモネードの素も内浦のレモンを使用してつくった商品なんですけど、ありがたいことに、すごく好評をいただいています」

 

 

高浜町の内浦地区でつくられているレモンは無農薬で、皮まで安心して口にできます。町の直売所でも販売されている内浦のレモンですが、いまは人気もあがってきていて、すぐ売り切れてしまう日も。これからの新しい町の顔になりえる内浦のレモン。町内外の多くの人に活用していってほしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

高浜の「食」を盛りあげるために…

新しいチャレンジはつづく。

 

 

森川:

「実は、いま発酵の勉強をしています。糀って食材をやわらかく、しっとり、美味しくする力があるんです。魚やお肉をもっと美味しく食べるために役立つと思って。糀を高浜産のトマトやレモンと組み合わせたソースも開発しました。へしこをつけることにも挑戦してるんですよ。高浜の食材ってすごく可能性があるものばっかりでしょ。もっとたくさんの人に食べてほしいし、知ってほしいって思いますね。」

 

 

美味しさを高めるだけでなく、健康効果も期待できる発酵の力。それを特産の食材と組み合わせることで、さらに町の食を盛りあげようと尽力する森川さんのバイタリティに脱帽です。

 

 

 

山があり、海があり、箱庭のような町と言われている高浜町。ハーブ、杜仲茶、レモン、魚や魚介。どれも自然があふれる高浜町自慢の身体に優しくて、美味しいものばかりです。今まで知らなかった町の食のポテンシャルを感じながら食べる森川さんの軌跡プレートの味は、最高でした。

 

 


 

ちょこっと追加メモ

高浜町立和田公民館 うらら

ワンプレート作りのために調理室をお借りしたのは、公民館の「うらら」です。他館に先駆けてヨガやダンスのオンライン講座を取り入れるなど、コロナ禍においても積極的に活動されていることが評価され、今年2月に第七十四回優良公民館表彰で表彰されました。調理室のほかに、和室やホールなどを借りることができます。

 

 

https://www.town.takahama.fukui.jp/page/kyouiku/wadakouminkan.html

 

 

 

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