|  |  | 0

 

 

アツく、優しく、楽しい。書家・角谷さんのマルチな表情に出会う。

 

 

 

高浜町和田地区の和田キャンプ場あたり、海のすぐ近くというロケーションに民宿かくたにHITOHIRA(ひとひら)、そして書家・角谷さんのご自宅兼仕事場(アトリエ)があります。

 

 

こちらが角谷有紀(なおき)さん。角谷さんは保育士、役場職員という職歴を経て、書家・アーティストとしての活動をはじめられました。

 

 

役場職員のとき、自宅療養・長期入院をすることになり、そのときに小さな頃から続けてきていた書道と真剣に向き合い、本格的に書家としての道を歩みはじめられました。その当時につくられた作品は「日本・フランス現代美術世界展」に出品され、見事入賞。スペインやフランス、ニューヨークなど世界中で多くの人を魅了しました。(角谷さんの経歴や想いについては、こちらの記事で。)

 

 

日本・フランス現代美術世界展 受賞作品

 

高浜町内でもお店の看板や高浜七年祭のポスター、町のPR動画「Reconnect with your ZEN」の文字など、様々なところで角谷さんの書を見ることができます。

 

 

太陽の光が差し込むお部屋には、書や墨流しの道具がいっぱい。墨の匂いがして、とても落ち着きます。『寒いやろ』と言いながら、薪ストーブに角谷さんが火を入れてくださいました。ありがとうございます。今日はいろいろお話を聞かせてください。

 

 

 

 

 

 

作品をつくるより、依頼者の想いに応えたい。

 

 

▼ 動画「KAKU」 高浜町のプロモーション動画を多く手掛ける、etooto Inc. ( LIFECT )さんのチャンネルより

 

 

角谷さんは、書家・アーティストとして広く活動されていますが、いつも作品づくりや展示会などへの出品制作をされているんですか?

 

 

角谷:

「2020年くらいまではそうでした。でも、コロナの流行を機にオンラインで行うバーチャル展示会とかが増えてきて、それにはちょっと魅力を感じなくなって。いまは作品づくりというより、主に子どもの命名書やお店の看板などの依頼をいただいたり、商業書家としての活動が多いですね。」

 

 

角谷:

「もともと今みたいに依頼を受けて仕事をするスタイルでやっていきたかったんですよ。うれしいことに高浜や福井県だけでなく、全国から依頼をいただいて…。現代アートの賞をもらったことで、書家として信頼してもらえるようになったんだと思います。お客さんの想いを文字というカタチにしていくのは、とてもやりがいがありますね。」

 

 

角谷:

「もうすぐ『日本デザイン書道作家協会』発行の『日本の文字クリエイター デザイン書道と文字デザインの最前線』って書籍が発売されるんですけど、そこに僕の書も掲載されるんですよ。有名なお酒のパッケージや大河ドラマの題字などを担当された方の作品が載っている本なので、とても光栄です。」

 

 

 

 

 

失敗も緊張もするけれど…面白いものをつくりたい。

 

 

書家として、いろいろなお仕事をされている角谷さん。いまでも緊張したり、失敗しちゃったりすることってあるんですか?

 

 

角谷:

「ありますよ。失敗して、表札用の木材削りなおしてもらったことも (笑)  緊張するのは、壁とか、襖とか、大きなものに書くときですね。一発チャレンジになるので、サイズ感とかデザインは事前にパソコンを使ってイメージしておくんですけど、このあいだ会社の事務所の壁に書く仕事があって、そのときは途中で思いっきりアレンジしました。」

 

 

角谷:

「最初は白壁に墨で書いていたんですけど、面白くないなって思って。依頼者の方と相談して、壁全体を墨で塗りつぶすことにしました。それでも、はじめに書いていた文字はうっすら残るので、そこに白や金を乗せたんです。墨の匂いで消臭されまくりの事務所になりましたよ (笑)」

 

 

 

 

 

 

保育士だった経験が生きる、角谷流ワークショップ

 

 

角谷さんは元保育士さんという、書家の方にしてはめずらしい経歴をお持ちですよね?なにか、その経験がいまのお仕事に生かされていることってありますか?

 

 

角谷:

「生かされていると思います。福井県内の小学校や保育所で、子ども向けのワークショップをやることも多いですからね。最近では、意外なことにスポーツチームからの依頼もあります。」

 

 

角谷:

「チームのみんなで言葉を決めて、1枚の紙にひとりずつ、一画ずつ順番に字を書いていくんです。文字って不思議で、チームの性格がそのまま出るんですよ。文字がガタガタになっていると意思疎通がちゃんとできてないかもって思うし、細い線を書いている子は自信がないのかなってわかります。ワークショップを行う子どもたちの様子を見ているだけでも、なんとなくチームの状態ってわかりますしね。このあたりは元保育士としての経験がすごく生かされているんじゃないかと思います。」

 

 

 

 

 

お父さんとして、宿の主人として。書家じゃない時間。

 

 

角谷さんは、去年フィナーレを迎えた漁火想・櫓ドラゴンのメンバーとしても長く活躍されていましたよね。

 

 

角谷:

「漁火想は2002年、櫓ドラゴンは2003年からはじまって、20年くらいやっていました。若い世代へのバトンタッチが難しくて、それなら最高のパフォーマンスができるうちにスパッと終わろうってことになったんですけど…またやってほしいって声もあるので、またみんなで何かできたらいいですね。僕は書家の仕事以外に民宿業もあるし、あまり櫓ドラゴンに夢中になると、家族から怒られるかもやけど(笑)」

 

 

おもちゃの花火だけを使用したエンターテイメント玩具花火集団「櫓龍」

 

 

 

民宿をはじめられたのは、書家として活躍されてからですか?

 

 

角谷:

「書家として本格的に活動する前からですね。もともとこの家を建てたときから、1部屋は間借り用にって考えていました。僕の実家も民宿なので、ごく自然に『宿』をはじめた感じですね。今では墨流し体験とセットで、日本人の方だけじゃなく、外国の方にもよく利用してもらっていますよ。」

 

▼ 1組(2名)限定のお宿 

 

▼ 書と墨流し体験 

 

アレコレとお忙しい角谷さんですが、ご家族との時間はどんな風に過ごされているのですか?お父さんとしての顔も教えてもらいたいです。

 

 

角谷:

「娘がチアダンスをやっているので、毎週京都までレッスンの送迎をしたりしています。いま、すごく大きなチアの大会に出ていて、本戦を通過できたら世界大会っていうタイミングですね。僕も小さいときからスポーツはいろいろやったし、娘の足をもんだり、トレーナーみたいなこともしてます。父としての僕はチア一色ですね (笑)」

 

 

▼高浜にこんな逸材がいたなんて…!みなさん注目ですよ!

 

角谷:

「最近、料理もするようになったんです。チャーハンとかなんですけど。美味しいかどうかはわからないけど、娘も休日のお昼ごはんとかで食べてくれてます。」

 

 

書家としての角谷さんは真摯で、大胆で、誠実。娘さんのお話をするときの角谷さんは、にっこり、優しい印象。今日は角谷さんの新しい顔をたくさん知ることができました。想像以上に気さくで話しやすく、面白い角谷さん。書家としてだけでなく、様々なものに全力投球されています。そのバイタリティを武器に、これからも多彩な活躍を期待しています!

 

 

#移住コーディネーター #会いたい人 #高浜人

 

 


書家 角(Kaku)角谷有紀 (Naoki Kakutani)

1983 年5月26日生 福井県高浜町 在住。
幼少より書の道へ。 「書」と日本の伝統的な紙染め技法「墨流し」を合わせ、文字の持つ意味を 模様と組み合わせて表現する現代書作家として活動している。制作した作品を国内外問わず、現代アート展に出展販売。2018 年フランス パリで開催された JAPANEXPO に出演・出展 商品題字・番組題字・店舗看板文字揮毫など商業書家としても活動。

コメントを残す