2024.6.30

いつものお買い物から、環境にやさしく。「エシカル」な暮らしを、地域に広げていきたい。


昔ながらの風景を残す高浜町中寄区に、未来を豊かに、地域や環境にやさしいくらしを提案・提供する「エシカル商店to」がオープンしました。

 

 

エシカルとは、人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動のことだそうです。また、環境にやさしいモノを購入するというくらしやライフスタイルはエシカル消費と呼ばれ、自分以外の人や地域、自然環境などへの「思いやり消費」「応援消費」ともいわれています。

 

 

そんなエシカルをコンセプトとした「エシカル商店to」。店主は、美容サロンを経営しながら、エシカルコスメの取り扱いや手作りコスメのワークショップなども行われている土井千春(どい ちはる)さんです。

土井千春 さん

高浜町生まれ。美容院で働きながら、通信教育で美容師免許を取得。独立して、アパートの1室で小さな美容サロンを開業。約3年後、ヘナカラーとカット専門の施術にエシカル化粧品の取り扱いやワークショップなども行う美容サロン「ルポ」をオープン。その自然愛にあふれた思想が高じ、2023年、美容サロン経営と並行して『エシカル商店to』を開店。小学校と保育所に通う2人のお子さんを育てるお母さんです。

※ヘナカラー:植物由来の色素を利用したヘアカラー

 

 

当たり前になってほしい。

ゴミを出さないお買い物。

 

さっそくエシカル商店toの店内へお邪魔しました。さわやかな風が吹き抜けて、気持ちいい。棚にはたくさんの瓶が並んでいました。グラノーラやハーブティ、コーヒーなどの食品が量り売りされています。

 

 

土井:

「日本の商品って過包装なものが多いので、容器に入った新しいものを買うばかりでは、ゴミが増えてしまいます。量り売りはゴミを出さない、昔ながらの環境に配慮したお買い物方法なので、エシカル商店toでは量り売りをおすすめしているんです」

 

 

食器洗い洗剤やシャンプーなども量り売り。こちらも、海を汚さず自然に還る成分で、デリケートな人肌にもやさしい商品なのだとか。

 

 

量り売りは、ゴミが少なくなるのはもちろんですが、必要なものを必要な分だけ買うことができるので、食品ロスなども減らすことができるのだそうです。また、ハーブティなどを買うときに、量り売りなら自分好みにブレンドできるのもうれしいですよね。

 

 

土井:

「エシカルとは、地域や自然、環境にやさしいというだけでなく、製造に関わる生産者さんが誰も悲しい想いをしていないか…など、背景の部分にまで配慮されたもののことです。そんな考え方に共感して、リピーターとなってくれるお客さまも増えてきています」

 

 

土井:

「量り売りの他にも、何度も使えるガラス容器、マイクロプラスチックを出さないふきんやブラシなどプラスチックフリーのものばかりを取り扱っています。ゴミを出さない生活が、もっとたくさんの人に定着していってほしいですね」

 

 

 

キレイと笑顔をつくる、

人にもやさしいお店。

 

エシカル商店toでは、エシカルコスメ、バスソルト、添加物のない発酵した調味料など、人の体にやさしく、キレイになることをサポートする商品も販売されています。

 

 

土井:

「特に女性にとって、美容って楽しいことですよね。その楽しいことからエシカルの考え方をアピールしていけるのがとてもうれしいです。エシカル商店toやサロンで、エシカルコスメのオーダーメイドや手作りコスメのワークショップなどもやっているんですけど、たくさんの方に参加していただいています」

 

▼ミツロウとはちみつを使ったボディーバター

写真:ethical_to インスタグラムより

 

土井:

エシカル商店toではカフェも併設されていて、オーガニックのハーブティ、玄米コーヒー、国産の果物100%のジュースなど、素材や作られ方にこだわったものをご用意しています。リラックスタイムを過ごしながら、こういう食の選択肢もあるんだと知ってもらいたいです」

 

おいしいだけでなく、体にやさしいドリンク。それが、このカフェのこだわりなのですね。体の内側からキレイにするという意識も高まりそうです。

 

 

また、土井さんと同じように環境や人を想い、活動する人たちのための「場所貸し」をされることもあるそうです。

 

▼場所貸しによる、手作りパンの出店

 

さらに、エシカル商店toでは託児所もされているのだとか。保育士さんが常駐されていて、0歳児から未就学児の託児所(一時預かり)もOK。土井さんは、急に子どもを預かってほしいときでも、気軽に利用してほしいとおっしゃっていました。

 

 

土井:

「託児をはじめたのは、子どもたちの生きる未来を豊かにしたいと願う気持ちからでした。そのためには子育てをしているママたちにも余裕が必要だと思ったんです」

 

 

土井:

「子どもを想う気持ちを、少し先の未来にも向けてもらえるよう、託児というカタチでサポートしていきたい。そして、自然豊かなこの場所で、大人も子どもも、のびのび過ごしてもらいたいです」

 

 

 

エシカルな暮らしを提案する、

気軽なお店をつくりたい。

 

美容師を続けながら、エシカル商店toをオープンしようと思ったのはどうしてでしょうか。

 

 

土井:

「小さな頃から海が好きだったので、美容師の仕事で毎日薬剤を流しているという行為に胸を痛めてきました。それで、美容師をしながら何かできることはないかなと思って、6年ほど前からヘアカットと化学染料を使っていない植物成分100%のヘナカラーだけの美容サロンをはじめたんです」

 

 

排水で海を汚さない自然由来のものだけで人をきれいにするという土井さんの想いは、エシカルという言葉と出会ったときから、さらに大きく広がったといいます。

 

土井:

「美容サロンで、エシカルコスメの販売やワークショップをはじめたんですが、手作りなどに関心のある人が意外と多いことに気づきました。それなら、もっと気軽に、何度も行けるお店でエシカルのことを知ってもらいたいと思ったんです」

 

 

美容だけでなく、生活や暮らしという大きな枠でエシカルをアピールできるお店がしたい。そんな土井さんの強い想いがエシカル商店toをはじめる原動力となったのですね。

 

 

 

この地域の風景を守りたい。

あえて選んだ困難な道。

 

エシカル商店toがある中寄区は、昔ながらの風景、豊かな自然にあふれています。そんな懐かしい町並みも、土井さんが守っていきたい大切なもののひとつだといいます。

 

 

土井:

「店名に『商店』を使ったのは、昔を思わせる言葉だからなんです。現在から昔へ、また循環していくみたいな雰囲気を感じとってもらいたいと思って。toも『to you』のtoのように、昔と今とか、人と自然とか、なにかをつなげるという意味を込めています」

 

 

店内は、大きな梁やあたたかみのある土壁など、その店名にふさわしい懐かしさにあふれています。

 

 

土井:

「はじめて見たときから、この古民家の雰囲気がとても好きで、どうしてもここでお店がしたいと思いました。でも、この家はとても劣化していて、修繕も困難な状態だったんです」

 

 

いっそ新築や徹底的なリフォームをしたほうが良かったのかもしれませんが、この地区の懐かしい雰囲気を守りたい土井さんは、難しくても古民家らしさをそのままに修繕する道を選んだそうです。

 

土井:

「たくさんの人に、この古民家を使うのはやめたほうがいいと言われましたが、あきらめずに自分の想いを伝えていきました。そうしたら、最終的にはみんなが協力してくれて…。気が付けば、自分で思っていた以上に大きなことになってましたね (笑)。でも、声に出して伝えていくことの大切さを実感しました」

 

▼古い家具を譲り受けて活用

 

やりたいことに向かって動き出し、壁にぶつかっても強い想いを武器に進みつづけた土井さん。そんな土井さんの姿が、たくさんの人の心に響いたんですね。

 

土井:

「ここに来ると懐かしくて涙が出そうと言ってくれるお客さまもいらっしゃるんですよ。この古民家や古い家具など、誰かにとって価値がないものでも、他の誰かにとっては価値のあるものになるんだってことも、この店から伝えていきたいですね。

 

 

最後に、土井さんは、いつか家族のひとりは手作りコスメを使っている、排水で海を汚さない洗剤を使っている、そんなことが当たり前になっていってほしいと話してくださいました。とても素敵な願いですよね。

 

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エシカル商店to インスタグラムはこちら 

 

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