2024.12.1
学年の枠をこえて学ぶ、ふるさと思いの素直な子どもたち。
~ 内浦小中学校~
高浜町には3つの小学校、1つの小中学校があります。そのなかで、今回は内浦小中学校の小学生たちが、どんな学校生活を送っているのかご紹介します。
小学生と中学生が同じ校舎で学ぶ内浦小中学校は、町内でも特に自然豊かな地域にあります。生徒数は小中学合わせても30人未満と、とても少人数。学年の枠を越えて、子どもたちが仲良く交流しています。地域の人とのつながりも深く、ふるさとを大切に思う心を育てる教育を目指されています。
今回は、総合的な学習の授業で参加されている「緑の少年団」の活動を取材。5・6年生と一緒に、地元の山へ行ってきました。
校外学習で、
木や森のことを学ぼう。
内浦小学校は、次代を担う子どもたちが、緑と親しみ、緑を愛し、緑を守り育てる活動を通じて、ふるさとや人を愛する人に育つことを目的とした『緑の少年団』に入団されています。
その緑の少年団の活動の一環として、5・6年生が体験したのが、山で行われている間伐(密集した木を切って減らし、太陽の光が届くようにする)作業。地元の森林組合に案内してもらい、伐採現場へ。
チェーンソーで切った大きな木が勢いよく倒れたり、重機で丸太を運んだり、はじめて見る現場の迫力に圧倒されつつも、興味しんしん。子どもたちから「わぁ!」と声があがります。
質問タイムがはじまると、子どもたちは積極的に手を挙げて、なぜ森の木を切る必要があるのか、切った木はどう活用するのかなど、いろいろなことを森林組合の職員さんに聞いていました。質問したいことを予習してきている様子。まじめな内浦小学校の子どもたちらしさが感じられます。
「子どもの僕たちにもできることはありますか?」「後継者はいるのですか?」という質問にはビックリ。地域課題のことまで、しっかり勉強してきているのですね。森林組合の職員さんも「後継者は少ない。だから、君たちが頑張ってくれ!」と、うれしそうに答えていらっしゃいました。
伐採現場の見学が終わったら、次は、地元の木材店へ。
木材店では、山から運ばれてきた木がどんな風に加工されていくのかを教えてもらいます。
はじめて見る木の加工現場。子どもたちは、たくさんの大きな機械や職人さんの仕事について、教えてもらったことをしっかりメモしていきます。みんな、とっても真剣な顔。学ぼうとする意欲がひしひしと伝わってきます。
工場の外に伐採されたままの丸太を発見。太陽に当てて、木を乾かしているのだそうです。ここで、生徒から『雨が降ったらどうするんですか?』と質問が。
木は細いストローを重ねたような構造になっているので、横向きに寝かせておけば、内部まで水が浸透しにくいのだとか。そのため少々の雨なら大丈夫なのだそうです。
「そうなんだ!」と、ビックリした顔を見合わせる子どもたち。最後に木材店の方から子どもたちにヒノキの端材とやすりのプレゼントが。ヒノキをすべすべに削ってみてねと声をかけられ、家に帰ったらすぐ削る!と、とってもうれしそうでした。
みんなで一緒に作る、
平和のモニュメント。
内浦小学校では、自然や環境、平和などについて考えてほしいという想いから「アースハピネスプロジェクト」にも参加されています。その授業風景も見せていただきました。
アースハピネスプロジェクトは、全国のこどもたちが間伐材で作品を作り、それを集めてひとつの大きなモニュメントをつくるという企画で、内浦小学校でも1年生から6年生までの全校生徒が、それぞれがイメージする平和の作品をつくりました。
高学年の子と低学年の子が同じ机で作業中。わからないことがあったら、お兄さん、お姉さんに聞いて、作業を進めていきます。他学年の交流授業が多いのも、少人数の小学校の魅力ですね。
平和のイメージを思い浮かべて、好きな色、好きなモチーフで、それぞれ作品をつくりあげていきます。人や鳥を描いたり、ハートや言葉を書いたり、みんなの個性が光ります。
できあがった作品を積み木にして『テトリス~』と楽しむ姿も。内浦小学校のみんなの作品だけで、立派なオブジェクトが完成しちゃいましたね(笑)
作品が完成したら、今日の感想を発表します。積極的に手があがり、『おもしろかった』『色塗りのコツを教えてもらえて良かった』『木に絵を描くのがむずかしかった』など、いろいろな感想が飛び出しました。みんな楽しく作品づくりができたみたいですね。
豊かな自然のなかで、地域や未来のことを学ぶ内浦小学校の子どもたち。人の話を真剣に聞き、素直に意見を言える、そんな姿がとても印象的でした。
校長先生に聞きました。
内浦小学校はどんな学校ですか?
内浦小中学校は、夢に向かって努力できる健康的な身心と故郷を大切にする気持ちの育成などに力を入れられています。アットホームな雰囲気で、地域とのつながりも深い学校です。
▼安田校長先生
内浦小学校の特長を教えてください。
安田校長先生:
「他の学校と特に違うところは、小学校と中学校が併設しているところです。それでも小学生が18人、中学生が10人しかいないので(2024年10月現在)、2学年合同で授業をしたり、小学校の修学旅行は2年ごとに5・6年生合同で行ったり、少人数の学校ならではの工夫をしています。
安田校長先生:
「低学年と高学年、ときには中学生が一緒に授業をすることもあって、交流できる年齢の幅が広いのも少人数制学校のいいところかなと思います。先生も子どもたちみんなに目が届きやすいですし。逆に余計な手をかけすぎてしまわないように気をつけています」
内浦小学校の自慢を教えてください。
安田校長先生:
「地域とのつながりが強いところは、内浦小学校の魅力ですね。生徒数が少ないので、学校の運動会は地区運動会と一緒にやるんです。準備から運営まで地域と学校が一体となって行っています。他にも地元の永野農園さんやハーバルビレッジで野菜や薬草を育てるお手伝いをさせていただくこともあります」
安田校長先生:
「前に生徒が転校するときがあったんですけど、そのときの見送りに子どもたちだけじゃなく地元の方たちも集まってくれて。本当に地域みんなでひとつの家族みたい!って思いました」
勉強以外で子どもたちに教えていきたいことは?
安田校長先生:
「地域の自然や未来のことを大切に考えられるようになってほしいです。また広い視野を持ってほしいと思っています」
安田校長先生:
「小さな世界の閉鎖した考え方にならないように、内浦小学校以外の空気や雰囲気が感じられる校外交流は積極的に行っていきたいです。地域の人や他の小学校、町外でがんばっている人とも関わりを持つことで、子どもたちの可能性を広げてあげたいですね」
少人数の学校ならではの工夫、そして利点もたくさんあるんですね。豊かな自然のなかで、子どもたちが毎日を伸び伸びと過ごしていて、とても素敵な学校だと感じました。安田校長先生ありがとうございました。
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